中長期戦略はなぜ必要?

お客様のご相談の中で、最初は表立って出てこないものの、ニーズとして実は最も多いのでは?と思うのが「中長期戦略の策定」です。
たとえば、「トラブルが起きて困っている」時に、
→ 火消し (とにかく緊急対策だ!)
→ 原因分析(再発防止策を検討せよ!)
→ 仕組み化(再発防止策を確実に実行せよ!)
という感じで進めることがあります。
もちろんそれはそれで必要ですが、その間に他のトラブルが起きたり、そもそも要員が不足し、対策が中途半端なまま、という場面も少なからず見かけます。
これでは、トラブルの連鎖から中々抜けきれそうにありません。
労力をかけずにとにかく現状を乗り切ろう、という動き方は、 いわば「対症療法」的なアプローチで、その場は一見うまく収まるのですが、根本的に何も変わっていないことが多いと思われます。
一方で、時間はかかっても二度と同じ過ちを起こさないように対策しよう、という動き方は、「根本治癒」を目指すアプローチです。
実はこの「根本治癒」のアプローチは、ほぼ中長期戦略の策定プロセスそのものであるため、”中長期戦略は根本治癒(問題の根本対策)のために実施するもの” と言っても差し支えありません。
というわけで今回は、中長期戦略策定の「目的と進め方(策定手順)」について簡単に書きます。
1.中長期戦略策定の目的
中長期スパン(*1)での組織やチームの進む方向、内容を可視化することで、関係者の認識の齟齬を軽減し、効果的な施策の企画~実行のベースを作ること
※ここでは利益追求型の企業/組織を想定
*1:中期は1~3年くらい、長期は3~5年くらいが一般的
2.中長期戦略の策定手順
(1)問題~現状課題を整理する
・現状起きている問題、課題を洗い出し、言語化する
・必要に応じ、環境/市場/自社分析を行う
(2)ありたい姿を描く
・企業/組織が成長する上で目指したい姿を洗い出し、言語化する
(3)(1)と(2)のギャップ分析を行う
・現状とありたい姿のギャップがどこにあるか、阻害要因は何か、なぜ生まれるのか、について要因分析を行う
(4)短期~中長期の施策を検討する
・喫緊(短期)に取り組む課題、中長期的に検討する課題に大きく分け、それぞれ段階的にどのように取り組むかの検討を行う
(5)目標設定を行う
・具体的な施策に対する段階的な成長目標、達成指標をクリアにする
・施策の選択には、論理的な根拠が必要なため、事実に基づく要因分析や、現場ヒアリングなども必要に応じて実施する
以上、ざっくりとした手順を書きましたが、実際は、1~2か月かけて情報収集→整理・分析→言語化→ブラッシュアップ 等を繰り返し、関係者が納得いくまで言葉や数値に落とし込んでいく必要があります。
ちなみに、中長期戦略策定で使うテンプレートをこちらにUPしておきました。留意事項に同意いただければ、どなたでも利用可能ですので、ぜひご活用ください。

shuCEO
シーズメッシュ代表取締役
学生時代にアートを学ぶ。IT企業に就職し、40数件のプロジェクトを経験。悩みながらもプロジェクト成功確率を上げる管理手法を編み出す。品証、PMO、IPA研究員、改革リーダーを経験した後、アート×サイエンスによるコンサル&プロデュースを行う会社を設立し、現在に至る。